オゾンとは何か 性質と効果

殺菌や脱臭によく使われているオゾン(Ozone)とは、どんな物質でしょうか。

オゾン(Ozone)は酸素原子が3つに結合した物質で、強い酸化力を持ちながら短時間で分解して扱いやすいため、殺菌や脱臭などの用途に用いられています。

オゾンに関する効果や安全性は、以前から世界中で研究されています。高濃度のオゾンは人や動物、植物にも有害ですが、低濃度のオゾンは自然界にも存在しており、人体に影響を与えることはありません。

オゾンは殺菌や脱臭にとても有効な物質で、産業分野から日常生活まで、幅広い分野で活用されています。

オゾンの基礎 特性と生成メカニズム

オゾンとは何か

オゾン(O3)はもともと空気中に存在するありふれた物質で、3つの酸素原子が結合した不安定な気体です。特有の刺激臭を持ち、自然界では雷放電や紫外線によって生成されます。

一般的に言われる「酸素」は、酸素原子が2つ結合した状態で大気中に存在しており、我々が呼吸している空気にも21%の酸素が含まれています。

酸素原子が3つに結合すると、オゾンという物質に変わり、その強い酸化力を活かして殺菌や脱臭などの用途に用いられます。

オゾンの化学的性質 構造と反応性

オゾンは酸素分子(O2)よりもエネルギー的に不安定な構造で、非常に反応性が高い物質です。オゾンは強い酸化力が特徴で、様々な物質と反応して酸化します。この酸化力がオゾンの殺菌・脱臭効果の根源です。

オゾンの分子構造は折れ線型で、結合角は約117度です。この不安定な構造が、オゾンが容易に分解して酸素分子(O2)と酸素原子(O)になる理由です。

自然界のオゾン生成 雷と紫外線

自然界では、雷放電や太陽からの紫外線によってオゾンが生成されます。雷放電の際には、大気中の酸素分子が放電エネルギーによって分解され、生成された酸素原子が他の酸素分子と結合してオゾンが生成されます。

また、成層圏では太陽からの紫外線が酸素分子に作用し、オゾン層を形成しています。このオゾン層は有害な紫外線を吸収し、地球上の生物を保護する重要な役割を果たしています。

人工的なオゾン生成方法 放電と紫外線照射

オゾンを人工的に生成する方法として、主に放電方式と紫外線照射方式があります。

  • 放電方式: 高電圧を印加して放電を起こし、空気中の酸素分子を分解してオゾンを生成します。高濃度のオゾンを生成するのに適しており、産業用途で広く使用されています。
  • 紫外線照射方式: 紫外線ランプから紫外線を照射し、空気中の酸素分子を分解してオゾンを生成します。比較的低濃度のオゾン生成に適しており、家庭用機器などで使用されています。

オゾンの効果 殺菌・脱臭

オゾンの強力な酸化力は殺菌や脱臭に効果があり、様々な分野で活用されています。

オゾンによる殺菌・ウイルス不活化

オゾンは、細菌やウイルスの細胞膜やDNA、RNAを酸化分解することで、殺菌・不活化効果を発揮します。

塩素系消毒剤に比べて、より低い濃度で効果を発揮し、耐性菌が発生しにくいという利点があります。また、多くのウイルスに対して有効であることが研究で示されています。

オゾン脱臭の仕組みと効果

オゾンは、悪臭の原因となる物質を酸化分解することで脱臭効果を発揮します。アンモニア、硫化水素、メチルメルカプタンなど、様々な悪臭成分に有効です。

単に臭いをマスキングするのではなく、臭いの元を分解するため、根本的な脱臭が可能です。

オゾンの応用 漂白・水処理など

オゾンは殺菌・脱臭以外にも、漂白や水処理など、様々な用途で活用されています。例えばパルプの漂白や、水道水の浄化、工場排水の処理などに使用されています。

オゾンの安全性 人体の影響と安全な使い方

高濃度のオゾンは人体に有害な影響を与える可能性があり、安全に使用するためには適切な濃度管理と換気が重要です。日本産業衛生学会では作業環境での許容濃度を0.1ppm以下と定めています。

高濃度オゾン 人体や呼吸器への影響

高濃度のオゾンを吸入すると、呼吸器に刺激を受け、咳、喉の痛み、胸の圧迫感などの症状が現れることがあります。長時間の高濃度オゾン暴露は、肺機能に影響を与える可能性があります。

オゾン濃度の環境基準と作業環境基準

環境基準や作業環境基準では、オゾンの許容濃度が定められています。日本では、環境基準で1時間値が0.06ppm以下、作業環境基準で0.1ppm以下と定められています。

これらの基準値を遵守し、安全にオゾンを使用することが重要です。

オゾン発生器の使用方法 換気と濃度管理

オゾン発生器を使うときは適切な換気を行い、オゾン濃度が基準値を超えないように管理する必要があります。

また、人やペットがいない環境で使用すること、使用後は十分に換気を行うことなどが推奨されています。

オゾン発生器の種類

オゾン発生器は主に放電式と紫外線式の2種類があり、業務用の高濃度オゾンは放電式、家庭用の低濃度オゾンは紫外線式が用いられます。、

放電式オゾン発生器 高濃度オゾン生成

放電式オゾン発生器は、高濃度のオゾンを生成するのに適しており、産業用途で広く使用されています。電極間の放電を利用してオゾンを生成するため、生成効率が高いのが特徴です。

紫外線式オゾン発生器 低濃度オゾン生成

紫外線式オゾン発生器は、比較的低濃度のオゾン生成に適しており、家庭用機器などに使われます。紫外線ランプから紫外線を照射してオゾンを生成するため、構造が比較的シンプルなのが特徴です。

成層圏オゾン層と環境への影響

成層圏に存在するオゾン層は、太陽からの有害な紫外線を吸収し、地球上の生物を保護する役割を果たしています。

オゾン層が破壊されると、地表に到達する紫外線量が増加し、皮膚がんや白内障などの健康被害、生態系への影響などが懸念されます。

地上のオゾン 光化学スモッグの原因物質

地上付近のオゾンは、光化学スモッグの原因物質の一つです。自動車の排気ガスなどに含まれる窒素酸化物などが、太陽光と反応してオゾンを生成します。高濃度のオゾンは、呼吸器に悪影響を与える可能性があります。

オゾン層保護の取り組み

オゾン層破壊の原因となるフロンガスなどの使用規制が進められています。国際的な協力の下、オゾン層保護のための様々な取り組みが行われています。

オゾンの応用事例 業務用や家庭

オゾンは、産業分野から日常生活まで、幅広い分野で活用されています。また、従来の脱臭・殺菌用途に加え、医療や農業分野など、新たなオゾン応用分野の開拓が進んでいます。

産業向けオゾン利用 工場排水処理・食品加工

工場排水処理において、オゾンは有害物質の分解や脱色に利用されています。また、食品加工においては、殺菌や鮮度保持に利用されています。

医療分野でのオゾン利用 医療機器の滅菌

医療機器の滅菌にオゾンが利用されています。熱や薬品に弱い機器の滅菌に適しています。

脱臭機、空気清浄機

家庭用脱臭機や空気清浄機にオゾン発生機能が搭載されている製品があります。室内の脱臭や空気清浄に役立ちます。

エアピュアの空気清浄機+オゾン発生器「カムフォールド」にも、オゾン発生機能が搭載されています。

オゾン療法

オゾンを用いた治療法(オゾン療法)は、血液クレンジングや局所投与など、様々な方法が研究されており、抗炎症作用や免疫力向上作用などが期待されています。

ただし、オゾン療法は確立された治療法とは言えない部分もあり、今後の研究の進展が待たれます。

農業分野のオゾン利用

オゾン水を利用した農作物の病害防除や、土壌消毒などの研究が行われています。化学農薬の使用量削減や、農作物の品質向上への効果が期待されています。

オゾン独特の匂い

オゾンという名称は、ギリシャ語の「匂い(OZEIN)」が由来で、その名の通り独特の匂いがあります。

森の中や海岸といった自然界では、0.01ppm~0.05ppmの低濃度オゾンが計測されます。敏感な人は0.01ppmでもオゾンの匂いを感じますが、人体への影響はありません。

通常の大気中ではほとんどオゾンは発生しませんが、コピー機や殺菌灯からはオゾンが発生するので、近づくと鼻につくようなオゾンの匂いを感じることがあります。

紫外線・オゾン応用機器の設計開発

紫外線ランプ スーパーバックヤード

エアピュアでは、過去に紫外線やオゾンを活用した空気清浄機や、医療機関・食品工場向けの流水型水殺菌装置・除菌防臭機器を多数製作してきました。

その経験を活かして、自社製品の開発販売だけでなく、紫外線とオゾンを活用した小型殺菌消臭ユニットの設計開発や、除菌防臭機器の設計開発受託、機器の製造販売、OEM生産も行っています。

紫外線・オゾン応用機器: 紫外線・オゾン応用機器の設計開発受託

流水型紫外線水殺菌装置: 流水型紫外線水殺菌装置 水の殺菌・水質管理

UV照射装置の設計開発: 紫外線硬化樹脂向けUVランプ・UV照射装置の設計開発

電池・バッテリー駆動型: 電池・バッテリーを用いた紫外線除菌消臭装置の設計開発

紫外線ランプ・電源回路・インバーターの設計開発受託

紫外線ランプ・CCFL・電源回路・インバーターの設計開発受託も行っています。長年にわたり、紫外線・オゾン応用機器の設計開発に携わる経験豊富なエンジニアが対応いたします。お気軽にご相談ください。

紫外線ランプ・電源回路・インバーター: 紫外線(UVC)ランプ・電源回路・インバーターの設計開発受託

CCFL電源・インバーター: CCFL電源・インバーターの設計開発委託